
2023年8月に竣工した旭川市新総合庁舎に納める家具のプランニングとデザインを旭川家具のプロジェクトメンバーの一員として担当させていただきました。日本有数の木工家具の産地で、2019年にはユネスコのデザイン都市に認定された北海道旭川市。最近では地元出身のやり投げの北口榛花さんの活躍が記憶に新しく、パリオリンピックで金メダルを取った際、新庁舎は凱旋パレードの起点となり大きな賑わいを見せておりました。
「森と街の記憶の継承」をコンセプトに、旭川家具工業協同組合に所属する30社のメーカーと共に足掛け3年、100年単位の長い年月をかけて育った地域の木材資源を次の時代に継承すべく、ペン立てのような小さなものから建築に絡む大きな造作まで、実に857点にも及ぶ家具を製作・納品する大きなプロジェクトでした。
今回のプロジェクトはクライアントである旭川市、建築設計を担当するチームも市の基幹産業でもある旭川家具の導入にあたって協力体制を築き、建築や内装とのデザインやカラースキームの統一を積極的に行い、市民はもちろん、観光客も訪れる旭川市の新たなランドマークとすべく一緒に取り組みました。
旭川市新総合庁舎プロジェクトでは、市内の小学生を対象としたデザインコンペが開催され、審査と選ばれたアイデアを実際に製作するまでのサポートを担当しました。
選ばられたアイデアは旭川を象徴する大雪山や旭橋や石狩川、旭山動物園、北海道らしい雪景色などをモチーフにした9点で、それらを実用に耐えられるようにブラッシュアップして旭川市内及び近郊の家具メーカーや工房で製作。
中でも普段は木彫りの熊などを手掛ける旭川木彫・工芸品協会に所属する作家さんに依頼した動物の木彫り作品は、応募者である小学生と製作者である大ベテランの年の差60〜70歳の間を取り持ったのは貴重な経験となりました。
これらの作品は旭川市総合庁舎の最上階9階の展望ラウンジに設置されています。天気の良い日には窓から大雪山十勝岳連峰が望めます。1階レストランや9階展望ラウンジは市民以外でも利用可能ですので、旭川を訪れた際には是非お立ち寄りくださいませ。
北海道にUターンしたタイミングでお声がけいただき、30代から40代をまたぎ足掛け3年、そして今は無き北海道東海大学でデザインを学んだ旭川の地で、何十年に一度の大きなプロジェクトに携わることが出来て非常に感慨深いプロジェクトとなりました。
旭川家具工業協同組合では旭川市及び近郊の家具メーカー約40社が加盟し、プランニングからデザイン、製作、納品まで一貫体制で共同受注を行なっています。今回の旭川市新庁舎プロジェクトをまとめた冊子もございますので、ご興味のある方は旭川家具工業協同組合にお問合せくださいませ。
旭川家具ブランドサイト
>> https://asahikawa-kagu.or.jp/